老人ホームの看取りとは?

人生の最期を迎える場所は病院とばかり考えられがちですが、近年は自宅や介護施設など、最期の時を迎える場所の選択が可能です。老人ホームでは、最期を迎えるまでのケアとして「看取りケア」が受けられるところもあります。
そこで今回は、老人ホームにおける看取りケアの内容や流れ、注意点を 解説します。

看取りケアとは

老人ホームで行われる看取りケアとは、病状の回復が見込めず余命が数週間と判断された入居者に対して、無理な延命治療を行わずに看護や介護を続けながら「自分らしい最期」を迎えるためのケアです。看取りでは基本的に医療ケアは行われず、ケアを受ける方の尊厳を守りながら身体的・精神的苦痛を軽減・緩和し、床ずれ防止や食事・排泄の介助などの日常生活におけるケアがメインとなり、家族へのケアも含まれます。

看取りケアとよく似たケアとして、「ターミナルケア(終末期ケア)」があります。看取りケアとターミナルケアはどちらも人生の最終段階で受けるケアで、延命治療を行わないのが共通点です。
しかしターミナルケアでは、看取りケアで行う日常的なケアに加えて点滴や酸素吸入など終末期に行う医療行為も行う点が、看取りケアと大きく異なる点です。

日本は他国と比較すると看取りケアは病院で行われることが多いですが、一部の方は在宅、または介護施設で看取りケアを受けています。在宅では医師や看護師などによる在宅医療を受けて自宅で最期を迎えるもので、老人ホームで看取りケアはすべての老人ホームで 対応しているわけではないものの、老人ホームなどの介護施設での看取りも近年増えているといいます。

看取りの流れ

老人ホームで看取りを行うためには、通常の老人ホームの利用とは異なる流れでの対応を受けることになります。では、どのような流れで老人ホームでの看取りが行われるのかを解説します。

老人ホームへの入所~適応期

老人ホームへ入所する際の手続きは、看取りケアを受けない場合とほぼ同様です。希望の老人ホームへの問い合わせや施設見学を行い、入居する施設を決めたら その施設での生活になれる「適応期」に入ります。この時点でケアマネジャーや医師、看護師や介護士などが看取りケアを見据えたケアプランを作成し、看取りケアの方針を定めます。

ケアプランには、看取りケアを受ける入居者本人の希望はもちろん、家族の希望やサービス内容、長期目標なども盛り込まれ、ここで看取りまでの流れが決まりますが、必ずしも最期までのこのプランで介護が進むとは限りません。入居者の体調の変化や入居者本人の希望により、途中で当初のケアプランが変更されることもあります。

安定期

入所して半年ほど経過した、老人ホームでの生活に慣れて身体的にも精神的にも安定している時期です。他の入居者や職員とコミュニケーションを取ったり 普通の生活を楽しめる頃ですが、入居者の希望が入居時と変化していることもあるため、安定期に入居者本人に希望を再確認して適応期に作成したケアプランの見直しや変更が生じる場合 があります。

不安定・低下期

精神的・身体的に不安定な状態です。既往症の悪化などにより医療行為行っても改善が見込めず、身体機能が低下して衰弱した状態となります。

この時点で、安定期にできたことができなくなっていることもあるため、この時点でも心身の状態に合わせたケアプランの見直しが行われることがあります。

また、入居者の状態が家族に伝えられるので家族の意向も確認し、さらに今後を予測して具体的な看取りケアの方向性を定めて具体的な看取りの準備も進めるのが、看取り直前のこの時期です。

終末・看取り期~看取り後

引き続き精神的・身体的に不安定な状態で、回復も見込めません。看取り期は1~5日程度と短く、入居者の病状や詳細な状態が家族に伝えられ、できるだけ最期に入居者に合ってもらいます。同時に、家族に看取り介護の同意を得て、医師への連絡や葬儀の手配など最期の時を迎えるための準備を進めます。

医師が死亡を確認した後は、3時間以内に入居者の衛生面の確保や、本人が希望した服を着せるなどの「エンゼルケア」と呼ばれる処置を行い、施設側では家族のケアも引き続き行うまでが、看取りケアの流れです。

老人ホームでの看取りの注意点

老人ホームの入居者本人やその家族が看取りを希望していたとしても、希望通りに看取りケアを受けられない場合があります。

入居中の老人ホームの方針により看取りケアが受けられないこともあり、看取りケアを実施している老人ホームだとしても医療機関での治療が必要と判断された場合は、看取り期に医療機関へ搬送され、搬送先で看取る ケースもある点に注意しましょう。

また、看取りケアを行っている老人ホームすべてで同じ体制を取っているわけではありません。施設によって方針や体制は異なるので、入居前にあらかじめ施設ごとの看取りの方針や体制をきちんと確認して、納得できる看取りケアを受けられる施設を選びましょう。

まとめ

看取りケアは、自分らしい最期を迎えるために受けられるケアです。老人ホームでは一人ひとりの状態に合わせたケアプランで看取りケアをしてもらえるので、老人ホームで人生の最後を迎える場合は、家族とともによく検討して施設選びを行いましょう。

この記事を書いた人

近畿老人ホーム紹介センター編集部

近畿老人ホーム紹介センター編集部が監修するコラムです。 近畿老人ホーム紹介センターは、奈良県を中心に10年以上の老人ホーム紹介事業をおこなっている経験から、介護業界の情報を熟知したスタッフが揃っています。 老人ホームや介護施設への入居を考えるうえで役立つ情報をお届けします。 ・奈良県唯一の老人ホーム専門誌「シニア住宅情報」発刊 ・公益社団法人 全国有料老人ホーム協会 高齢者向け住まい紹介事業者 ・高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)登録紹介事業者

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