サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームの違いは?

高齢者向けの住宅の中でも、比較的自立した生活を送れる方が入居するのが、サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームです。どちらも高齢者が安心して快適に過ごせますが、この二つにはさまざまな違いがあります。

そこで今回は、サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームの違いをわかりやすく解説します。違いを理解して、入居する方に適したサービスを選びましょう。

サービス付き高齢者住宅とは?

サービス付き高齢者住宅は、自立した生活ができるものの、ひとりでの生活に不安がある高齢者の方のための賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅と違い、バリアフリーで高齢者が生活しやすい設計になっていること、安否確認や生活相談などのサービスが受けられるなどの特徴があります。

住宅自体に介護サービスは付いていませんが、介護が必要になった場合は、デイサービスや訪問介護など、外部のサービスの利用が可能です。ほとんどのサービス付き高齢者住宅は、一般の賃貸住宅と同じく建物賃貸借方式です。

有料老人ホームとは?

有料老人ホームとは、食事・介護・家事・健康管理などのサービスを一つ以上提供している介護施設のことです。有料老人ホームには介護付き有料老人ホームと、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームがあります。

介護付き有料老人ホームは介護職員が24時間常駐しており、必要な介護支援が受けられるのが特徴です。看護職員も配置されています。一方、住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホームは、食事・家事・健康管理のいずれかの支援を受けることができますが、介護支援は提供されていません。住宅型有料老人ホームは外部サービスを受けられますが、健康型有料老人ホームは介護が必要になると退去する必要があります。

サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームの違い

どちらも高齢者を対象とした居住空間ですが、サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームにはさまざまな違いがあります。どのような違いがあるか、5つのポイントから見ていきましょう。

契約形態

サービス付き高齢者住宅はあくまで賃貸住宅の位置付けですから、入居する際には一般的な賃貸住宅と同様に賃貸借契約を結びます。都道府県から認可された一部のサービス付き高齢者住宅を除き、契約形態は居室のみの契約となる建物賃貸借方式です。

一方、有料老人ホームに入居する場合は、利用権方式という契約形態です。居室利用料・サービス提供料などをパッケージにした方式で、原則として終身契約となります。入居する方が亡くなるまで契約が続き、亡くなったとしても家族が利用権を手にすることはありません。

入居条件

サービス付き高齢者住宅の入居条件は以下のとおりです。

● 60歳以上(40歳以上で要支援・要介護認定を受けている場合は相談可)
● 自立した生活ができる

サービス付き高齢者住宅の入居条件はそれほど厳しくありませんが、基本的に身の回りのことは自分でできる人が対象となっています。住宅ごとに独自の条件を設けているケースもあり、認知症の方は入居できないケースもあります。

一方、有料老人ホームの入居条件は以下のとおりです。

● 60歳以上(介護付き老人ホームは65歳以上) ※施設による
● 自立〜要介護5 ※施設による

有料老人ホームは自立している方から「要介護5」の認定を受けている方を対象としていて、入居できる方の幅が広く、認知症の方でも入居可能です。ただ、施設によって入居条件の詳細が大きく異なります。健康型有料老人ホームは自立した生活ができることが条件です。

受けられるサービス

サービス付き高齢者住宅で受けられるサービスは、安否確認や生活相談です。日中には介護・看護・医療などの有資格者が常駐しています。一部では食事サービスやコンシェルジュによる掃除・買い物などの生活支援、夜間の常駐などを提供しているケースもありますが、これらのサービスは任意です。また、介護支援を受けたい場合は外部事業者と別途契約が必要です。

一方、有料老人ホームは、介護職員に加えて看護職員が配置されており、看護師による健康指導や服薬指導、緊急時の対応を受けられるのが特徴です。食事の提供やレクリエーションも受けられます。介護付き有料老人ホームの場合は、食事・入浴・排泄などの介護サービスや、リハビリが含まれているのが大きな特徴です。住宅型有料老人ホームは介護サービスが含まれておらず、希望する場合は外部事業者と契約しなければなりません。健康型有料老人ホームは食事などの生活支援に限定されています。

居室面積

サービス付き高齢者住宅の居室面積は、原則として25平方メートル以上で、一般的な1Kや1DKの平均的な面積と同レベルの広さがあります。ただし、条件を満たす場合は18平方メートル以上の空間も認められています。キッチンや浴室が付いている物件も多いです。

一方、有料老人ホームは居室面積が13平方メートル以上と設定されています。また、居室だけでなく廊下の幅にも指定があり、緊急通報装置の設置義務があるのも特徴です。入居者が集まって過ごせるレクリエーションルームなども充実しています。

生活の自由度

サービス付き高齢者住宅と有料老人ホームで比較すると、自由度が高いのはサービス付き高齢者住宅です。サービス付き高齢者住宅は、基本的に個人の自由で生活できるため、食事時間や外出などにも制限はありません。

一方、有料老人ホームは食事時間やサービスの提供時間が決まっています。同じ有料老人ホームでも、介護付き有料老人ホーム→住宅型有料老人ホーム→健康型有料老人ホームの順で自由度が高くなりますが、集団で過ごす時間も多いです。また、ほとんどの施設では、外出の際に許可を取る必要があります。

身体の状態や受けたいサービスによって選ぼう

今回紹介したとおり、サービス付き高齢者住宅はあくまで賃貸住宅で、受けられるサービスも限定的です。有料老人ホームは介護施設であり、施設によって違いはあるものの、比較的手厚いサービスが受けられます。

どちらも高齢者が安心して暮らせるよう配慮された居住空間です。迷っている方は、身体の状態や受けたいサービスを考えたうえで、二つのどちらかを選ぶようにしましょう。

この記事を書いた人

近畿老人ホーム紹介センター編集部

近畿老人ホーム紹介センター編集部が監修するコラムです。 近畿老人ホーム紹介センターは、奈良県を中心に10年以上の老人ホーム紹介事業をおこなっている経験から、介護業界の情報を熟知したスタッフが揃っています。 老人ホームや介護施設への入居を考えるうえで役立つ情報をお届けします。 ・奈良県唯一の老人ホーム専門誌「シニア住宅情報」発刊 ・公益社団法人 全国有料老人ホーム協会 高齢者向け住まい紹介事業者 ・高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)登録紹介事業者

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